三井住友建設の施工したマンションが傾いた。
というニュースをやっていた。
全52本の杭のうち、6本の杭が
支持層と呼ばれる強固な地盤まで届いていなかったらしい。
原因は、地盤調査の資料が転用されていて
その場所のデータでは無かったらしい。
結果
地盤調査を行っていた、「旭化成建材」が
費用の一切を負担する。という内容。
確かに
地盤調査を行っていて、社員が「転用」を認めた
「旭化成建材」の責任は大きい。
しかも
あの世界的に有名な超一流企業の「旭化成」の小会社。
間違っているなら「全てやり変えよう。その責任はとろう」
という姿勢は、あの会社の風潮ならある意味当然のこと。
しかし
しかしながら
この事件を、ニュースでしか知らない私は
「1人の施工者の立場」として、1つの疑問が生じていた。
それは
「本当に、地盤調査会社の責任だけなのだろうか?」
という疑問。
なぜなら
杭を打つ時は、
地盤が「支持層」と呼ばれる固いところまで達したか?
そこまで、地面を掘ることが出来たか?
ということが、
品質管理上一番大事だから。
具体的には
地面をメチャメチャ深く掘るという、
「見えない作業」を行う上で
「本当に所定の力に耐えることの出来る地盤」
まで、到達したか?
ということを
確認する作業が、杭打ちの品質管理の半分を占める。
残りの半分は、
その掘った穴に、所定の品質の杭を作る。ということ。
で
なぜ、私が疑問に思ったかというと
「全ての杭が支持層に達していないわけでは無いから」
52本中、6本 約11.5%だけが達していないから。
この11.5%が引っかかるのだ。
なぜなら
少し専門的になるが、
杭が支持層まで達したかどうか確認するには
掘るための機械の「電流の抵抗値」で判断する。
固い所を掘るには、とっても大変なので
強い負荷が掛かる。
だから
負荷がかかるから、余計に電流が流れるのだ。
その電流値をみて、「支持層まで到達した」ことを
推測するのだ。
ここで
「推測」と書いたのは、「地中深くで見えないから」
実際は、工法によって「地中の土質が出てくる工法」も
あるのだが、どんなタイプの杭を打っていたか分からないので
ココでは言及しない。
ということは
残りの46本と、問題のあった6本とでは
その「電流値」が違っていたのではないか?
明らかに、その電流値まで達していなかったのでは?
という疑問。
そうでなければ
「後から”6本”を特定することは非常に難しい」から。
でも
この事件を受けて、
「杭って支持層まで達しないと本当に建物傾くんだ」
という、実例を魅せつけられた1件。
1人の施工者として品質について
改めて考えさせられた1件であった。
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