カテゴリー: 建設のプロの豆知識

マンションで15階建てが多い理由は非常用エレベーター?

 

以前お伝えした「非常用エレベーター」の記事の時に、
非常用エレベーターの設置基準としては、建築基準法 第34条第二項に

 

高さ31mをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければならない。

 

と書いてあるということをお伝えした。

 

しかし

実は、世間一般のマンションの多くは14~15階建てで
高さが40~45m位あることが多い。

 

だけど

14~15階建てのマンションには、95%以上の確率で
非常用エレベーターが付いていない。

 

「あれっ?何で非常用エレベーターが必要ないの?」

 

とあなたは疑問に感じるはず。

 

実は

冒頭の建築基準法には続きがあったのだ。
と言っても「続き」と言うのは(政令で定めるものを除く。)
という部分のことである。

 

つまり

建築基準法施行令第129条の13の2において、
非常用エレベータの設置に関する緩和規定が定められているのだ。
以下に一部だけど抜粋しておくよ。

 

建築基準法施行令 第129条の13の2

 

法第34条第二項の規定により政令で定める建築物は、次の各号のいずれかに該当するものとする。

  1. 高さ31mを超える部分を階段室、昇降機その他の建築設備の機械室、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する用途に供する建築物
  2. 高さ31mを超える部分の各階の床面積の合計が500㎡以下の建築物
  3. 高さ31mを超える部分の階数が四以下の主要構造部を耐火構造とした建築物、当該部分が床面積の合計100㎡以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は特定防設備(中略)で区画されているもの
  4. 高さ31mを超える部分を機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの

 

ここで、とっても重要なのは赤字で記した
「高さ31mを超える部分の階数が四以下」という部分。

 

なぜなら

大抵のマンションの1階分の高さは3m程度なので、
高さ31mを超えるラインというのは10~11階くらいになる。
そこから、非常用エレベーターを設置しなくてよい階数「4」
を加えると14~15階建てになるのだ。

 

結局

非常用エレベーターを設置すると余計な費用が色々掛かるので
通常の乗用のエレベーターで済ますために階数を調整している。

本当は、それだけでは無いのだけど階数を計画する上で1つの
「明確な理由」になることは間違いないよね。

 

つまり

マンションで14~15階建てが多い理由は、非常用エレベーターの
緩和規定に沿って「高さ31m+4階」で計画されている事が
1つの理由になっていると私は考えているよ。

 

更に

階数がドンドン増えていくとエレベーターに乗っている時間や
待ち時間が長くなってしまうから好きじゃないかも。

 

ちなみに

過去にこんな記事を書いていたので合わせて読んでみてね。

↓  ↓  ↓

エレベーターと機械式駐車場!通勤ラッシュのイライラ