「これ持ってきたのですけど、転がしていいですか?」
持ってきたのは、大量のパチンコ玉。
私はいつも「いいですよ」と答える。
がしかし、内心かなりドキドキ。
きっと大丈夫。と分かっていても「もしかしたら」
と頭をよぎるので、100%の自信はない。
床にパチンコ玉と言うのは、
テレビでやっている「欠陥住宅」の最たる例。
私も、実際にテレビで見たことがある。
「ザーーーーーー」
っと勢い良く転がっていくパチンコ玉。
誰が見ても、床が斜めになっていることが分かる。
しかし
大抵の場合、そんなに転がらない。
転がっても、ゆっくり転がって少し進んで止まる。
「ああ、良かった~。ここの床はまっすぐだ」
「そうですよ。」
と、お互い胸をなでおろす。
良かった~。
転がらなくて~。
安堵の瞬間。
やっぱり、そんなに転がらないだろうと
頭でわかっていても、その瞬間はドキドキする。
では
なぜ転がりにくいのか?
についてだけど、実は地域差がある。
というかフローリングの下の構造が2種類あるのだ。
主に関東などでは、
フローリングの下には木などで床が組まれている。
「水回りも含めてプランが自由に変えることが出来ます」
といううたい文句のマンションは、大抵コンクリートの上に
更に床が組まれている「二重床」という構造になっている。
だから
床を組む時にレベルをしっかり確認して作るので
パチンコ玉が転がらないような精度になっている。
そして
関西などでは、二重床を組まずにコンクリートに
直接フローリングを貼り付けるのである。
いわゆる「直貼り工法」ではあるのだけど、
コンクリートの床の精度って実はそんなに良くない。
建築の標準仕様書という本にも
「3mの長さに対して7mmの高さの誤差」
は許容誤差として認められている。
しかし
3mで7mmも床のレベルが違うと、
きっとパチンコ玉は転がってしまうはず。
だから
コンクリートの上に「セルフレベリング材」という
トロトロの材料を流しこむのだ。
材料がトロトロの水みたいなので自然と水平に
なるという仕組みである。
そして
セルフレベリング材の上にフローリングを貼るから
パチンコ玉が転がらないような床レベルになる。
この2つが、マンションでパチンコ玉が
転がらないようになっている裏側だよ。
つまり
フローリングにパチンコ玉を転がされても
転がりにくいのには、それなりの理由がある。
でも
人間のすることなので、ある程度の誤差があること
を認識しておくことは必要。
あっ
施工誤差については、以下の記事でも書いているよ。
まだ読んでなければ、一度読んでほしい。
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